動物が虐待を受けている!黙っていても警察が動いてくれるよね。
→そんなことは絶対にありません。虐待を発見したら、通報しましょう。
日本では動物は「物」になります。
他人の動物を殺傷したり逃がしてしまった場合、「器物損壊罪」が適用されます(動物の場合はそれを敢えて「動物傷害罪」なんて言ったりします)。刑法第261条です。
これは親告罪なので、被害者が告訴しなければ起訴されません。
次に、自分の動物を殺傷した場合。「他人の」では無いので器物損壊罪は適用になりません。
では何の罪にも問えないかというとそうでは無く、動物愛護法違反として処罰されます。
これは親告罪では無いので、誰でも告発できます。
おや?先ほどの「他人の動物」の時には、動物愛護法は適用されないの?
これは、適用されます。
なので、他人の動物を殺傷した人は、器物損壊罪と動物愛護法違反がダブルで適用されるのです。
ただ、動物愛護法は、「愛護動物」に対しての法律なので、野生の生き物を虐待していても罪に問えません。
ちなみに愛護動物とは、
①馬、牛、豚、綿羊、ヤギ、犬、猫、いえうさぎ、鶏、家鳩及びあひる
②①以外で人が占有している哺乳類、鳥類、爬虫類
のことを言います。
ここでは動物愛護法違反に対して取り得る刑事手続きを見ていきます。
被害者が「こんな被害にあいました」と被害にあった事実を警察等の捜査機関に申告する書面です。
被疑者が特定できていない場合に使われることが多いです。
あくまでも事実の申告に過ぎないので、捜査するかしないかは警察等の判断次第になります。
警察や検察庁等の捜査機関に対して、被害者(法定代理人・親族などの告訴権者含む)が、自分のペットが被害にあったような場合にどのような被害を受けたかという犯罪事実を申告し、その被疑者に対して国による処罰を求める意思を表した書面です。
告訴状が受理されれば自動的に捜査が開始されます。
警察や検察庁等の捜査機関に対して、被害者でも告訴権者でもない市民一般が、近所で動物虐待が行われているような場合にその犯罪事実を申告し、その被疑者に対して国による処罰を求める意思を表した書面です。
告発状が受理されれば自動的に捜査が開始されます。
被疑者不詳は受理不受理に大きく関係はしない、とのことです。
被疑者が判らないという方でも告訴告発を躊躇なく行ってください。
告訴・告発は、国による処罰をしてもらうことが目的です。そのため、虚偽告訴にならないように、出来るだけ多くの証拠を集めておくことが大切です。写真、動画、音声、近所の人の話など。書面提出で行うことも口頭の申し立てで行うこともできます。
口頭で行う時は、警察に行って巡査部長以上の人に「告訴(告発)しにきました。告訴(告発)調書を作成してください」と言ってください。書面による告訴を要求されることが多いですが、きちんと話せば対応してくれるはずです。
当事務所では、動愛法違反に対する告訴状・告発状の作成をお受けいたします。
近年、野良猫の虐殺事件が各地で起こっています。
猫の不審死を目撃した方は、直ぐに警察に通報してください。
その際、「猫が死んでいます」だけですと、単なる動物の死骸の通報だと思われて、検視等行わずに遺体を処分されてしまうことがあります。そのため、
「猫が死んでいます。人が関与しているかもしれないので調べてください」のような言い方で、事件性があるかもしれない旨を伝えてください。